青春という溝に落ちました

出ることができません 息が持ちません もうだめだ もうだめだ なんて思っていると溝ネズミが私に甘い餌をくれるのです そのせいで私はこの溝から出られなくて その溝ネズミが作り出す甘い餌欲しさに溺れ続けて藻掻き続けて 入りたくもない派閥に入らされ 好きでもないものを好きといい 好きなものを嫌いといい 空を見上げても溝溝溝溝溝溝 溝臭い部屋に閉じこめられて呼吸ができなくて意識が朦朧とする するとまた溝ネズミが私に餌を投げてくるのです 泣きながら私はそれを貪るのです 早く出たい 早く出たい 餌が 餌が恋しい 地上の空気はどんな味がしたかしら どんな清々しい気分でいられたかしら それを忘れたのはいつからかしら いつから いつから溝ネズミ達は私を腐った溝に引きずりこんだのでしょう いつからでしょう いつから私はこんなにおかしくなってしまったのでしょう あの頃のように風を切って走りながら太陽の下で笑い合い人を信じることしかしない私に戻れたらな なんて考えたりもするのですがよく考えたらそれも辛いことに気付いて居場所を探して探して 結局生ぬるくて溝臭くて狭くて息苦しいもの溝に浸かってしまうんです 嫌なのに どうしても 私は溝がお似合いなのです 溝ネズミの餌は尽きてしまったのかもしれませんが 私は望みを捨てきれなくて 餌を待ち続けています 濁った天を仰いで口から溢れ出す欺瞞を飲み込むこともできずに 人を傷つけ化膿させ 最終的には餌ごとその子を貪ってしまおう だって沈みたくないもの 苦しみたくないもの もう苦しむのは嫌なの でもねでもね でもね 苦しみはいつまでもついてくるの たまに 無 という素敵な神様の知恵が降りてくるのだけれど とても怖くなるの 無 がどれほど怖いことか本能が叫んでるの おかしいわよね 溝だって充分危険で臭くて不快で 無 の方がいいかな って何回も何百回も何万回も何億回も思ったりするのだけれど やっぱり溝ネズミが私の袖を引くのです いかないで いかないで ここの方が安心だよ 敵もいないよ と  敵はいないのかもしれないけれど疑心暗鬼はもう嫌なの 誰を信じても誰もが裏切っていくの 嫌だよ嫌だよ 誰を信じればいい 信じたくないものばかり信じてきて 溝ネズミの餌に食らいつき 悪態を付き続けて 一つだけ気付いたことがあるのです 溝ネズミにしか見えなかったのは 私の友達だった
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2010-10-01 17:15
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