ルアトネック

 その名に「勝利を告げる者」の意味を持つこの奇怪な怪物は戦場に現れるという。
 最初の目撃例は遥か古代、大国アーチラントによる小国コンチラスへの侵攻の時であった。
 大軍を従えたアーチラントの陣営地で深夜、見張りの兵の前に不気味ないななきと共に、人間の下半身に馬の首が生えたような不思議な生き物が現れた。驚いた見張りは槍を振り回し、その怪物を追い払ってしまう。
 その後怪物はコンチラスの陣営地にも同様に現れた。しかし見張りの報告を聞いた占い師のダーレソレンはこれを吉兆とし、装飾品を捧げるよう将軍に進言する。それを聞いた将軍が身に付けていた指輪を怪物のたてがみに結びつけてやると、怪物はまた不気味ないななきを上げて森へと去って行ったという。
 この戦いでコンチラスは数的不利を負いながらも奇跡的な勝利を収め、アーチラントの撃退に成功する。捉えた捕虜の中にいた例の見張りの証言から、件の怪物が先にアーチラントの陣営に現れていた事を知った将軍はダーレソレンに多大な褒賞を与え、この話は国中の者が知るところとなる。
 やがて吟遊詩人がこの話を聞きつけ詩にした事により「勝利を呼ぶ怪物」の噂は広まり、ルアトネックが現れた時には必ず装飾品を捧げるという仕来りはあらゆる国の兵士に知れ渡り、そして捧げ物をした陣営は噂通りに必ず勝利した。中には勝利を呼ぶのであればと捕らえたり、轡と手綱を付けて手懐けようとする者もあったが、この場合は敗北したという。
 かくして戦場に多くの伝説と勝利を残したルアトネックであったが、兵器の近代化によって人と人とが直接刃を交える事がなくなると、その姿を見る者はなくなり、次第に忘れ去られてしまう……。

所謂「逆ケンタウロス」とか「ケンタウロスの余り」とか言われるやつ。
ネット上ではネタみたいに扱われてるけど、ファンタジー生物って割とみんな珍妙な姿形で、神話や伝承とセットになってるからカッコいい印象になってるだけじゃない?という事で、何かそれらしい逸話を付けて敢えてカッコよく描いてみた。
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2026-03-04 22:37
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鳥羽内

Comments

picちゃんさん's avatar
picちゃんさん 2026-04-09 19:03

SILENT HILLでこんなの見た

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まーすー's avatar
まーすー 2026-03-10 00:11

あーこういうのいいですね 志半ばで戦場に散った戦士の霊が幸運を運ぶ馬の形をとって現れたのでしょうか これをかたどったアミュレットとかありそうですね

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