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もしもナナが俺TUEEEEだったなら 第12.5回

観測者、昭和の飲み屋でオタクトークの巻

 本編とは別枠の、お遊び全開IFです。
 今回は完全にアフタートーク回です。
 初見・未読勢は、たぶん置いていかれます。

     ◇

『……でよ』

 ナナはぺちゃりと潰れながら言った。

『今の「僕、ドラえもん!」で』
『大山のぶ代が脳内再生されたヤツ、絶対いるだろ』

ー告。昭和世代の共鳴反応を確認しましたー

『やめろその言い方!!』

ー告。なお、現在は水田わさび版も十分定着した模様ですー

『まぁ、そうなんだけどよ』
『時間って怖ぇよなぁ……』

     ◇

『のび太とペーター同じだしよ』

ー告。小原乃梨子ですー

『なんならドロンジョもだぞ』

ー告。タイムボカンシリーズとの接続を確認しましたー

『接続って言うな』

『ってか、それ言い出したら』
『前回11回の悟空の声とラスカルが一緒ってのも解せん』

ー告。野沢雅子ですー

『振り幅どうなってんだよ!!』

     ◇

 その時だった。

「ピィ〜♪」

『うおっ!?』

 どこからともなく、ゴメちゃんが飛んできた。

『ゴメ お前、何で来た』

「ピィ〜」

ー告。日高のり子反応個体を確認しましたー

『だからそのログやめろ!!』

『91年版、日高のり子ゴメちゃんだぞ』
『和也と南が共演してんだぞ』

ー告。タッチですー

『説明ログ挟むな!!』

 ゴメちゃんは満足そうに、

「ピィ〜♪」

 と鳴いた。

『絶対わかって来てるだろお前』

     ◇

『で、ダイ大だよ』

 ナナが急に真顔になる。

『俺の声だってよ』
『和也の声だぜ』

ー告。旧ダイの大冒険、ポップ役は難波圭一ですー

『そうだよ!!』

『しかも新アニメだ』

 ナナは、ぐっと目を細めた。

『おい豊永、ありがとな!』
『バラン編以降、良くやってくれたぜ』
『あの決めセリフ、バッチリだったぜ』

ー告。観測対象、急に感謝モードへ移行しましたー

『ログにするな』
『ここはちゃんと言わせろ』

『新アニメも最後まで完走してくれてよ』
『俺たち世代のロマンを、ちゃんと繋いでくれた』

 少しだけ、優しい空気が流れた。

     ◇

 その時、店の入口ががらりと開いた。

「……この店、当たりだ」

『おい待て』

 巨大な狼が、よだれを垂らしながら入ってきた。

『何でお前まで居るんだよ!』
『ここ昭和声優談義の飲み屋だぞ!?』

「知らん」
「だが焼き鳥の匂いがした」

 その後ろから、ぷるんと青いスライムが跳ねてくる。

「あるじー!」
「つくねたべたいー!」

『スイは可愛いから許す』

「扱いが違うぞ」

『当然だろ』

 フェルは、メニューを見て低く唸った。

「串、唐揚げ、刺身……」
「なるほど。人間の飲み屋も悪くない」

     ◇

 のび太が、ふとフェルを見た。

「ねぇ」
「なんかその声、すごく偉そうな王様みたいだね」

『やめろ、のび太』

 ナナが即座に制止した。

「え?」

『その先は危険地帯だ』

 のび太は勢いよく立ち上がった。

「世界のすべてよ、聞くがいい!」
「我が名はアインズ・ウール・ゴウン!」
「ナザリック地下大墳墓の主にして、魔導国を統べるもの!」
「死を愛し、死に愛される者!」

 店内が一瞬、静まり返った。

 フェルが、じろりと見る。

「……小僧」
「なぜ急に骨の王の口上を始めた」

『知ってんじゃねぇか!!』

ー告。オーバーロード接続を確認しましたー

『確認すんな!!』

 フェルは焼き鳥を一本くわえ、ふんと鼻を鳴らした。

「声が似ることくらい、あるだろう」

『あるけど限度があんだよ!!』

     ◇

 フェルは、静かに言った。

「声とは、器だ」
「同じ器でも、注がれる魂が違えば、まったく別の存在になる」

 ナナが止まる。

『……お前、急に真理っぽいこと言うな』

「役を演じるとは、そういうことだろう」

ー告。メタ真理を確認しましたー

『だから確認すんな!!』

 スイは、つくねを見つめて目を輝かせた。

「スイ、たのしー!」
「みんなでごはん、うれしー!」

『……まぁ』
『それが一番の真理かもな』

     ◇

 そこへ。

「あぁ、そうさ!」

『うおっ!?』

 突然、ドラ・ザ・キッドが現れた。

『おい!!』
『お前居たのかよ!!』

「へっ、細けぇことは気にすんな!」

『その枠で来るな!!』

 キッドは帽子を押さえながら笑った。

「まぁでもよ」
「豊永も良くやってくれたぜ」
「俺の女神は振り向いてなんかくれねぇw」
「横っ面を引っぱたくってかww」

 ナナが少し静かになる。

『おいw』

「ピィ〜♪」

『お前も満足そうに鳴くな』

     ◇

『しかし、まさか豊永も』

『俺が“はぐれメタル”になってるとは思わねぇだろうな』

ー告。情報量が危険値に達していますー

『お、そうか』

『ここまでにしとくか』

ー告。なお、初見勢はすでに置いていかれていますー

『知ってる』

 ナナは、ぺちゃりと潰れたまま笑った。

『まぁ、たまにはこういう飲み屋ノリも悪くねぇだろ』

「ピィ〜♪」

「つくねおいしー!」

「この店、また来るぞ」

『来るな』
『いや、スイだけならいい』

「扱いが違うと言っているだろう」

 昭和の飲み屋の夜は、まだ少しだけ続いた。
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2026-05-16 21:39
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セリス・G

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