【闘乱祭】羽若部 とら
✦羽若部 とら(はわかべ - )
玉鋼学園三年生 身長151cm
2020年【illust/84844535】
ドジかつトロい玉鋼学園の三年生。
ドジなのもトロいのも相変わらずだが、コーチや違うクラスの友達との交流をきっかけにほんの少しだけ積極性を身につけつつあり、
心剣使いとしての能力も順調に成長している。
一年・二年から引き続き、日々沢山の楽しさに囲まれており、コーチとの放課後の特訓も上々。
徐々に卒業が近づいてきたことで、大好きな皆と離れ離れになるかもしれないことを思うと時々寂しさにおそわれたり、
自分の進路や将来についても考えなくちゃならないのかな、とぼんやり思ったりすることもあるが、
今はそれを憂いたり悩んだりするよりも、もっと皆とこの時間を楽しみたい、もっともっと心剣使いの扱いも上手くなりたい、という気持ちが強い。
だって、早く皆に、コーチに追いつきたいから。
いつも自分は楽しい気持ちをもらっていて、たくさん良くしてもらってばかりで。
それはとても嬉しいけれど、だからこそ、自分も早く、そのお返しができるようになりたいから。
それから、コーチと一緒にいる時に感じる、このふわふわした気持ちのことも。
このソワソワやドキドキがなんなのか、早く知りたいから。
きっともっと自分が強くなって、コーチの隣に並んで立てるようになったら。
きっとその答えが見つかるような、そんな気がするから。
だから。
:
けれど、終わりはとつぜんやってきた。
突如コーチから告げられた、師弟関係の打ち切り。
お前は十分強いだろ、そう言われて。
いくらそれを否定しても、コーチは打ち切りを撤回してはくれなかった。
突如放り出されたとらは、それでもやっぱりコーチと、もっとちゃんと話がしたくて、
闘乱祭でコーチに試合を申し込めば、二人で相対することができるのではないか、と思いつく。
本当は闘うつもりなんてないけど。だって、けんかがしたいわけじゃないし、そもそも自分なんかがコーチに敵うはずがないし。
それでもその場でなら、きっと、ちゃんと向き合うことが出来るはずだから。
それで、もっとちゃんと、話し合うことができれば。
しかし、それも叶わなかった。
初めてコーチから向けられた刃。闘乱祭で向き合えば話ができるはず、などと考えていたとらの考えは到底甘く、
そのコーチと闘うことになってしまった。
それでもとらには積極的に戦意を持つことは出来ず、防戦一方だったが、
コーチが強く刀を振るい、斬りかかってきた時、
思わず受け止めるつもりで構えた心剣から、勢いよく綿が飛び出し、コーチのそれを弾き返してしまう。
その時、やっととらは自覚した。
ずっと、ずっと今まで、コーチと並んで立ちたくて。
いつも自分の先にいて、自分の方を振り向いて、眩しい笑顔を見せてくれるコーチの、
その隣に行きたかったはずなのに。
いつの間にか自分が、そのコーチを追い越してしまっていたことを。
✦心剣:グレース
非常時顕現型の心剣。
綿を出現させて対戦相手を撹乱させる能力と、持ち主を繭で包み守る能力を持つ。
そしてもうひとつ、持ち主の感情が高まった時に大量の綿を噴射し、
その風圧で害なすものを弾き飛ばす能力が密かに目覚めていた。
けれどそれも、本当は、もう少しだけ使い方が違うのだけれど。
✧どうして:花染 美澄くん【illust/93166299】
「……っ、だ、だって、あ、あんな終わり、いやだった、から……
コーチがどうして急にそんな風に思っちゃったのか、どうしても聞きたかったから……だから」
「……どうして?なんで、そんなこと言うの……?わたし、まだまだ全然ダメだよ、コーチがいないと……コーチよりわたしの方ができるなんて、コーチがダメなんて、そんなことあるわけないよ、だから……、…………っ!」
──だから、そんなのうそだって言ってほしくて。
本当はやっぱり全部うそで、冗談だよって。きっといつもみたいに笑ってくれるって、思いたかったのに。
──ううん。それがわたしの都合のいい願いだっていうなら、
コーチがどうしてそう思ってしまったのか、わたしの何がコーチにそう思わせてしまったのか、聞きたくて。
きっとコーチなら、わたしがちゃんと正面から向き合えば、教えてくれるって。
そう思ったのに。現実には、どちらもけしてかなわなかった。
コーチから今まで言われたことのない言葉と、鋭い切っ先。
その刃先から現れたのは、前みたいな紫色の元気をくれるキラキラでも、わたしの力に似たふわふわのきれいな光でもなく、まるでわたしの使う綿そのもので。
それにもおどろいたけど──もうひとつ。
(……コーチの太刀すじが──みえる?)
わかる。次にコーチがどんな風に剣をふるうのか。そうしたらどんな風に綿が出てきて、どんな風にわたしに向かってくるのか。だってその綿は、わたしの綿だから。
でも。そんなことあるわけない。わたしがコーチの動きを読める、だなんて。
だってコーチは、いつだってわたしよりすごかったんだから。確かにちょっと前は、少しスランプなのかなって思うこともあったけど。だからこそコーチの相談に乗れるくらい、もっと強くならなきゃって思ったけど、それでもコーチはいつもわたしの前を歩いていて、それはずっと変わらなくて。
だから。
────ほんとうに。
ほんとうに、ずっと、そうだったの?
(わたし、いったい、)
ずっと、なにを間違えてたの?
「………………────!!」
コーチがひときわ大きく刃を振るう。
それに思わず、わけがわからないまま腕が勝手に動いて、グレースを前に突き出していて。
────ううん。この瞬間。このタイミング、この角度で。
それを構えれば、もっとも的確な姿勢で『反撃』ができると、
『わたしはわかっていて』。
そうしてそのとおりに噴き出した綿と風が、すべてを的確に弾き飛ばした。
コーチがわたしに向けた鋭いものも。
わたしの視界を覆い隠していた、ふわふわの繭も。
なにもかも。
「……………あ…………」
そうか。
わたし、ばかだ。
なんで気づかなかったんだろう。
ううん、なんでじゃない。
こんなことになるまで、こんなことに気づかないようなばかだから。
だから、コーチを傷つけたんだ。
いつの間にか、ほんとうにコーチの言ったとおり、
わたしがコーチを追い越していて、
そしてそれにコーチが傷ついてるのも知らずに、ずっと理想のコーチばかり見てて、あなたを。
置いてけぼりにしていたなんて。
「こ、」
コーチ。
「み、」
みすみんくん。
「は…………」
花染くん。
そのどれも呼べずに。
「………ごめん……なさい。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…………………」
それしか言えなくて。
にじむ視界に、彼がおどろくのが見えながら。
あとは、走るしかできなかった。
✦闘乱祭(終了済企画)
玉鋼学園三年生 身長151cm
2020年【illust/84844535】
ドジかつトロい玉鋼学園の三年生。
ドジなのもトロいのも相変わらずだが、コーチや違うクラスの友達との交流をきっかけにほんの少しだけ積極性を身につけつつあり、
心剣使いとしての能力も順調に成長している。
一年・二年から引き続き、日々沢山の楽しさに囲まれており、コーチとの放課後の特訓も上々。
徐々に卒業が近づいてきたことで、大好きな皆と離れ離れになるかもしれないことを思うと時々寂しさにおそわれたり、
自分の進路や将来についても考えなくちゃならないのかな、とぼんやり思ったりすることもあるが、
今はそれを憂いたり悩んだりするよりも、もっと皆とこの時間を楽しみたい、もっともっと心剣使いの扱いも上手くなりたい、という気持ちが強い。
だって、早く皆に、コーチに追いつきたいから。
いつも自分は楽しい気持ちをもらっていて、たくさん良くしてもらってばかりで。
それはとても嬉しいけれど、だからこそ、自分も早く、そのお返しができるようになりたいから。
それから、コーチと一緒にいる時に感じる、このふわふわした気持ちのことも。
このソワソワやドキドキがなんなのか、早く知りたいから。
きっともっと自分が強くなって、コーチの隣に並んで立てるようになったら。
きっとその答えが見つかるような、そんな気がするから。
だから。
:
けれど、終わりはとつぜんやってきた。
突如コーチから告げられた、師弟関係の打ち切り。
お前は十分強いだろ、そう言われて。
いくらそれを否定しても、コーチは打ち切りを撤回してはくれなかった。
突如放り出されたとらは、それでもやっぱりコーチと、もっとちゃんと話がしたくて、
闘乱祭でコーチに試合を申し込めば、二人で相対することができるのではないか、と思いつく。
本当は闘うつもりなんてないけど。だって、けんかがしたいわけじゃないし、そもそも自分なんかがコーチに敵うはずがないし。
それでもその場でなら、きっと、ちゃんと向き合うことが出来るはずだから。
それで、もっとちゃんと、話し合うことができれば。
しかし、それも叶わなかった。
初めてコーチから向けられた刃。闘乱祭で向き合えば話ができるはず、などと考えていたとらの考えは到底甘く、
そのコーチと闘うことになってしまった。
それでもとらには積極的に戦意を持つことは出来ず、防戦一方だったが、
コーチが強く刀を振るい、斬りかかってきた時、
思わず受け止めるつもりで構えた心剣から、勢いよく綿が飛び出し、コーチのそれを弾き返してしまう。
その時、やっととらは自覚した。
ずっと、ずっと今まで、コーチと並んで立ちたくて。
いつも自分の先にいて、自分の方を振り向いて、眩しい笑顔を見せてくれるコーチの、
その隣に行きたかったはずなのに。
いつの間にか自分が、そのコーチを追い越してしまっていたことを。
✦心剣:グレース
非常時顕現型の心剣。
綿を出現させて対戦相手を撹乱させる能力と、持ち主を繭で包み守る能力を持つ。
そしてもうひとつ、持ち主の感情が高まった時に大量の綿を噴射し、
その風圧で害なすものを弾き飛ばす能力が密かに目覚めていた。
けれどそれも、本当は、もう少しだけ使い方が違うのだけれど。
✧どうして:花染 美澄くん【illust/93166299】
「……っ、だ、だって、あ、あんな終わり、いやだった、から……
コーチがどうして急にそんな風に思っちゃったのか、どうしても聞きたかったから……だから」
「……どうして?なんで、そんなこと言うの……?わたし、まだまだ全然ダメだよ、コーチがいないと……コーチよりわたしの方ができるなんて、コーチがダメなんて、そんなことあるわけないよ、だから……、…………っ!」
──だから、そんなのうそだって言ってほしくて。
本当はやっぱり全部うそで、冗談だよって。きっといつもみたいに笑ってくれるって、思いたかったのに。
──ううん。それがわたしの都合のいい願いだっていうなら、
コーチがどうしてそう思ってしまったのか、わたしの何がコーチにそう思わせてしまったのか、聞きたくて。
きっとコーチなら、わたしがちゃんと正面から向き合えば、教えてくれるって。
そう思ったのに。現実には、どちらもけしてかなわなかった。
コーチから今まで言われたことのない言葉と、鋭い切っ先。
その刃先から現れたのは、前みたいな紫色の元気をくれるキラキラでも、わたしの力に似たふわふわのきれいな光でもなく、まるでわたしの使う綿そのもので。
それにもおどろいたけど──もうひとつ。
(……コーチの太刀すじが──みえる?)
わかる。次にコーチがどんな風に剣をふるうのか。そうしたらどんな風に綿が出てきて、どんな風にわたしに向かってくるのか。だってその綿は、わたしの綿だから。
でも。そんなことあるわけない。わたしがコーチの動きを読める、だなんて。
だってコーチは、いつだってわたしよりすごかったんだから。確かにちょっと前は、少しスランプなのかなって思うこともあったけど。だからこそコーチの相談に乗れるくらい、もっと強くならなきゃって思ったけど、それでもコーチはいつもわたしの前を歩いていて、それはずっと変わらなくて。
だから。
────ほんとうに。
ほんとうに、ずっと、そうだったの?
(わたし、いったい、)
ずっと、なにを間違えてたの?
「………………────!!」
コーチがひときわ大きく刃を振るう。
それに思わず、わけがわからないまま腕が勝手に動いて、グレースを前に突き出していて。
────ううん。この瞬間。このタイミング、この角度で。
それを構えれば、もっとも的確な姿勢で『反撃』ができると、
『わたしはわかっていて』。
そうしてそのとおりに噴き出した綿と風が、すべてを的確に弾き飛ばした。
コーチがわたしに向けた鋭いものも。
わたしの視界を覆い隠していた、ふわふわの繭も。
なにもかも。
「……………あ…………」
そうか。
わたし、ばかだ。
なんで気づかなかったんだろう。
ううん、なんでじゃない。
こんなことになるまで、こんなことに気づかないようなばかだから。
だから、コーチを傷つけたんだ。
いつの間にか、ほんとうにコーチの言ったとおり、
わたしがコーチを追い越していて、
そしてそれにコーチが傷ついてるのも知らずに、ずっと理想のコーチばかり見てて、あなたを。
置いてけぼりにしていたなんて。
「こ、」
コーチ。
「み、」
みすみんくん。
「は…………」
花染くん。
そのどれも呼べずに。
「………ごめん……なさい。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…………………」
それしか言えなくて。
にじむ視界に、彼がおどろくのが見えながら。
あとは、走るしかできなかった。
✦闘乱祭(終了済企画)
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